相続 遺言

はっきりとした理由は分からないけど、確かに、義兄夫婦は変わった。

以前は、本当に仲が良くて、子供たちの歳も近いので、私たち家族とも一緒に旅行に行ったりもしていた。

義父が生きているときは、、、。

今の状況を見たら、義父はあの世でなんて言うだろう。

義父もまさか、自分の死後、自分の息子たちがこんな風に争うことになるなんて夢にも思わなかったに違いない。

「あの世のお義父さん、私たちを助けてください。」

礼服 墓参り

本当に、怖かった。

世間では一流企業と呼ばれている企業の社員とは思えない、まるで、ヤクザかと思うような剣幕で、

「お前ら、親父の遺産を狙ってんのかもしれないけど、そうはいかないからな!」「ふざけた真似したら、タダじゃ済まさねえぞ!」「とっととサインしろ!」

って、一枚の紙を突き付けられた。

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夫は、もう、怖いのと、こういう兄たちと関わりなくないのとで、ろくに、内容も確認せずに、言われるがままに、サインしようとした。

私は、思わず、「あなた、ダメッ!」と夫に飛びつき、ペンをもぎ取った。

そして、私は、とっさに、義兄に叫んだ。

 

 

「いい加減にしてください!」「こんなのおかしいと思います!」

 

 

私は別に気が強い方でもなく、そんなに主張の強い人間でもないが、あまりに理不尽な態度をとる義兄やその家族たちが許せなかった。

それから、私たち家族と、義兄家族との長い長い闘いが始まった。

私に対する誹謗中傷も苛烈なものがあり、電話、手紙、メール、FAXが雨あられのように来た。

しかも、文章の中身は、私のような素人目から見ても、

「私が強欲で、主人をたぶらかして、義父の遺産を狙っている」

という以外は、筋の通らない話ばかりで、まともな議論には到底ならなかった。

そのくせ、「○日以内に返答せよ。返答しなけば認めたものとみなす。」とか、言った覚えが全くないのに、「貴殿が○○と言ったのは名誉棄損という犯罪行為につき警察に訴えます。」とか、気味が悪いことこの上なく、私も完全に精神的に参ってしまった。

 

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妻がこんな風になってしまったのも、私が、自分のことであるにもかかわらず、面倒だとか、忙しいとか、何よりも、兄たちと接触するのが嫌だからということで、現実逃避してきたのが、原因だ。

 

そこで、私は、気持ちを入れ直して、兄たちと正面から対峙する覚悟を決めた。

加えて、遺産争族という魔物に対して、徹底的に取り組んでやろうと思った。

 

インターネットで調べたところ、世の中、私と同じように卑劣な兄弟からの攻撃にさらされている人は少なくないということだ。

 

そして、当事者同士の話し合いがまともにできない場合には、「遺産分割調停」と言って、裁判所が間に入ってくれて、話をつけてくれるという制度があることが判明。

調停

 

希望が見えてきた。正義は報われるはず・・・・だった。

 

「すいませんが、そちらどなた?」

「うちの家内です。これまでの経緯を良く知っているもので・・・」

「あのね。あなたの遺産分割調停なんだから、部外者は入れないの。分かる!?」

そうだったのか。しまった。でも、そんな言いかたしなくても。

しかし、この人たちの気分を害しては大変だから、我慢しないと。

「それじゃあ、よろしくお願いします。実はですね・・・・・」

 

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「・・・・・うーん。なんか、あなたの言っていることだけだと、要領を得ないから、お兄さんたちのお話もちょっと聞いてみないとね。ちょっと、一旦、待合室に戻ってもらえます?」

何がどう要領を得ないというんだ。

しかも、あんなに、沢山、資料を事前に出しておいたのに、とても読んでくれているとは思えない。

今頃、兄たちは何を話しているんだろう。

どうせ、私たち夫婦の悪口に決まっているが、さすがに、裁判所の人たちが諌めてくれるだろう。

しかし、話が長いな。

 

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「お待たせしました。どうぞ。」

「えっと、結論から言うとね。あなたの言っていることっていうのは、裁判所的にはちょっと、難しいかなって感じなんですよ。だからね。お兄さんたちも、今なら、多少は、譲歩して、あなたに、○○だけなら譲っても良いっておっしゃっているので・・・、ひとつ、この線で検討してみてはどうかなっっていうのが裁判所的な意見なんですけど。」

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「ちょっと待ってくださいよ。兄たちが言っていることなんて、全くでたらめですよ。もっと、よく私が出した資料を読んでください。」

「まあまあ、みんな、遺産の争いになると、そう言うんですよね。嘘だとか、言ったとか言わないとか。だけど、そういうことばっかり言っていてもね。どこかで折り合わないと、審判だとか裁判だとか、果てしない争いになっちゃうだけだからね。」

「折り合うって、私が兄たちの言いなりになるってことじゃないですか!だから、前提が全然・・・、」

「とにかく、今日は、もう時間もないことですし、先ほどのお兄様達の譲歩案も踏まえて検討してきてください。じゃあ、次回期日は、先ほどお伝えした通りです。お疲れさまでした。」

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「もう、ダメだ。裁判所まで兄貴たちの言うことを完全に信じてる。」

「もう、諦めよっか?あんな人たちに付き合うだけ人生の無駄って気がしてきたし、裁判所の人たちまでそんな感じなら、何やっても私たちの言い分なんて通らないよ。」

「それにしても、あの男の調停委員は、本当に偏見がすごかったし、女性の調停委員は、『兄弟なんだから仲良くしないと』しか言わなかったよ。こんなもんなんだね。悔しいよ。もう、次の調停は行きたくなくないよ。」

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私は、夫に申し訳なかった。

あの時、夫が兄たちに突き付けられた書類にサインをするのを止めなければ、夫は、こんな苦痛を味わうこともなかったのかもしれない。

ただ、いくら何でも、内容も確認せずに、書類にサインするのはあまりに危険だったと思う。

問題は、これからどうするかだ。

裁判所の言うとおりに合意すれば、それで大丈夫なのだろうか?

ただ、夫の話を聞けば聞くほど、それも危険なような気もする。

一体、誰を信じて、どうすればいいのか・・・。

 

 

「あの世のお義父さん、私たちを助けてください。」

 

 

 

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私は、いつものように、仕事に行く途中で、このことを考えながら歩いていたら、ふと、「○○法律事務所」という白い看板が目にとまった。

弁護士に相談してみようか、と一瞬思った。

でも、裁判所まで敵みたいになってしまっている今、弁護士に相談したところで、また、裁判所と同じようなことを言われるだけかもしれないと思い、弁護士に相談するなんて勇気がでなかった。

ただただ、どうしようどうしようと出口が見えないで思い悩んでいるだけの日々が過ぎていったが、「弁護士」のことが引っかかって、通勤途中にスマホでうちの場合の悩みを検索していった。

検索してみたところ分かったのは、遺産トラブルの解決の流れの一般的な説明をしているホームページばかりで、「調停とは」とか「遺留分とは」とか「寄与分とは」とか、教科書みたいな感じだった。

内容も経過も、うちの場合はかなり特殊で、

「本当に知りたいことはネットでは探せない」

、などと言う人もいるが、本当だなあと思った。

もう、通勤途中にスマホで検索がくせになってしまい、その日も、何気に探していると、「争族」ケースを沢山挙げている弁護士事務所のホームページにたどり着いた。

全く、うちの場合と同じではないけど、かなり特殊なケースまで載っており、ここの事務所の弁護士なら、事件解決の何か手掛かりがあるのではないかと、少し興奮気味に連絡先を確認した。

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あれっ?この事務所の場所って、私がいつも通勤途中に見ていたあの白い看板の弁護士事務所?

知らなかった。こんなところに、相続の相談ができる弁護士事務所があったなんて。

電話をしてみたところ、受付の女性が応対してくれたが、弁護士が不在ということで、折り返しをもらうことになった。

ただ、受付の女性からも事件の概要を聞かれたので、うまくは伝えられなかったが、なんとか、うまく誘導してもらいまとめることができた。それと、「夫と相談に行きたいので、もし、相談予約をいれてもらえるなら、土曜日にしてもらえませんか。」と確認したところ、弁護士との日程調整ができれば、土曜日の相談も可能だそうだ。あと、なんでも、お願いばかりで恐縮だったが、「私の仕事が17時30分に終わるので、それ以降の折り返しを希望します。」と伝えたところ、そのように弁護士に伝えます、とのことで終わった。

そして、夜7時過ぎ。

リリリン!

「もしもし?」

「もしもし、遅くなってしまって申し訳ございません。私、○○法律事務所の弁護士の○○と申します。本日、お問い合わせいただいた件で折り返しさせていただきました。」

「あっ、ハイ。折り返しありがとうございます。」

「それで、日程は土曜日がいいんですよね。何時ごろがよろしいですか?」

「土曜であれば、何時でもいいです。実は、私たち、割と近くに住んでいて、いつも、そちらの事務所の看板を見かけていたんで、場所も分かります。」

「それはそれは、お近くで。では、午後2時の枠で相談予約をお入れします。あと、当日は、事務員がおりませんので、万が一のために、弁護士の連絡先をお教えいたします。」

「で、今の状況なんですけど、もう、遺産分割のお話は始められているという感じですか?」

「それが、その・・・、話が始まっているというか、もう調停まで進んでまして、しかも、次回の期日が○月○日なんです。」

「えっ!じゃあ、あと2週間しかないわけですか?とにかく、状況は分かりました。それでは、土曜日の午後2時にお待ちしておりますので、これまで、相手方とやり取りした書類とか調停に提出した書類一式お持ちいただけますか。それと、これは、仮に、うちの事務所の依頼いただく場合の話なんですが、ちょっと時間もないので、ご主人の印鑑をお持ちいただいてもいいですか。実印でなくてもよいので。」

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そして、土曜日の午後2時。

主人とともに、その弁護士事務所を訪れた。

「どうも、初めまして、弁護士の○○です。場所、すぐ分かりました?あと、すいません、本日は事務員が休んでいるもんで、ご不便をおかけします。」

と、弁護士がコーヒーを運んできた。

弁護士は男性と女性の弁護士2名がいた。

「それでは、早速ですが、資料は何かございますか?」

主人は、長男から送られてきた手紙やFAX、調停の資料、それと、これは私がまとめたものだが、これまでのやりとりの経過をワープロで打ってプリントアウトしたものを、差し出した。

私は、念のために、ノートパソコンも持参した。

「うーん。この手紙は、長男が書いたもの?それとも、次男?」

「長男です。この手の手紙とかは全部、長男が書いてます。」

「意味が分からない上に、不愉快で、なんだか、頭が狂っているような感じですねえ。でも、あの○○商事に勤めているんですよね。」

「はい。ですが、調停では、調停委員は、むしろ、私より兄たちの方を信用しているみたいで、結局、私に、兄たちの提案を飲むように強く説得されました。」

「それで、それを飲むんですか!?」

「いや、そんな、ここまで嫌がらせされて挙句の果てに、兄たちの言いなりになるなんて絶対嫌です。ですが、もう、調停委員を相手に何をどうしてよいのか分からないので、こうして、先生にご相談しようと思ったんです。全部、妻がやってくれたんですけど。」

「本当に、しっかりした奥さんでよかったですね。これをすんなり飲むと言ったら、私は、『あなたはどれだけ、ドMなんですか?』って心の中で思いますよ。ただ、この調停の資料だと、分厚いし、必要ないのとあるのがごちゃ混ぜになってて、たしかに、わかりずらいので、一回、整理した方がいいでしょうね。」

「あのう、調停委員の言うことに従わなくて、いいんでしょうか。何か、ペナルティとか。」

「従わなくてもよいし、ペナルティもない。遺産分割調停の場合には、片方の調停委員は弁護士がなることが多いので、多分、そのおっしゃる男性の調停委員が弁護士なんでしょうけど、だからって、それに従わなくてはいけないルールはない。」

「女性の調停委員は、兄弟でもめ事を続けるなんて良くないからなるべく円満にってずっと言ってましたけど。」

「円満になるかならないかは、お兄さんたちの対応次第じゃないですか?彼らがこんな文書を送ってくるから円満に進まないんでしょ。いずれにせよ、調停委員だろうが、それが弁護士だろうが、違うものは違うとキチンと言わないと。それで、それに沿った、証拠があるかを再度、確認していきましょう。」

「ああ、しまった、しまった。それで、どうされます。ご依頼されますか?」

「ハイ、どうぞ、よろしくお願いします。」

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次回期日までに、あまり時間がなかったが、若い女性の弁護士が頑張ってくれて、私たちの五月雨式の資料が、きちんと一つの物語として分かりやすい書面になった。その書類の中には、前回、調停委員が夫に押し付けようとした案がいかに不公平かということ、および、証拠もなしに一方にのみ不当な譲歩を強いるものだということが書かれていた。

ただ、夫は、ここまで書くと調停委員が怒りだすのではないかとむしろ心配しているようでもあったので、私は、弁護士が同行するのだから心配することはない、と励ました。

 

そして、第2回の調停期日。家庭裁判所。

 

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妻はああ言ったものの、私は、やはり、「裁判所にたてつく気か!」と怒られそうで気が気ではなかった。

ところが、その男性調停委員。

「先生ね。我々が調停案を押し付けたみたいな取り方されているみたいですけど、ちょっと、それは誤解ですよ。私たちは、相手方の意見がそうだっていうことをお伝えしたまでです。まあ、専門用語があって難しいから、そちらの申立人の方が勘違いしちゃったのかもしれないけど・・・。」

「ハア!?」「そんなっ!いや、たしかに・・・、」

私は、まるで私が嘘をついているみたいに言われて、つい興奮してしまい、席をたって話し出そうとしたところ、弁護士に肩をたたかれた。私は、弁護士に向かって、なんども、首をふって、私は、間違ったこと言っていないと伝えようとしたが、弁護士は、分かった分かったという風にうなずいて、

「そうですか。誤解だったんですか。だったら、いいです。では、改めて、こちらの認識している事実経過をご説明します。」

 

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夫は、俄然、やる気を取り戻して、その後の調停に臨むようになった。

ただ、ちょっと、ムラッ気があって、途中で、資料の作成とか資料探しが必要となると、もう、いい加減なところで、辞めてもいいかなあ、などと言いだすので、私も弁護士の真似をして、「ここで辞めるなんて、あなたドMなの?」って言いながら、なんとか、昔の資料をさがしてもらって、約半年後、調停が成立した。

途中、もう、別に訴訟をした方がいいかも、と弁護士から言われたりもしたが、私たちは、ギリギリまでは調停で進めたい、と頼み、最後は、ほんの少しだけ、私たちが譲歩してなんとか調停でまとめることができた。

 

私たちには長く感じられたが、その弁護士の抱えている他の事件と比較すれば、割りと早い方だと言っていた。

 

そして、義兄家族たちとは、絶縁状態になった。これは、もう、当初から予想していたことだ。それにしても、なんとか、終わりを迎えることができて、本当に、よかった。弁護士をつけてよかったというより、弁護士をつけないで解決するのは不可能だった。その意味では、スマホでたまたま見つけた弁護士が家の近くの弁護士だったなんて、その点は、すごくラッキーだった。

 

弁護士は、お義父さんが遺言を書いておいてくれれば、こうはならなかったかもね、と言っていたが、本当に仲が良かったから、こんなことになるなんて、想像できず、遺言なんて絶対に必要ないと思っていたに違いない。

ただ、私たちが困っているのを天国から見ていてくれて、弁護士をうまく見つけさせてくれたのだと私は夫にも言わずに心から信じている。

 

「お義父さん、ありがとうございました。相手からお金が振り込まれたら、家族で旅行に行ってきます。」

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